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刑裁サイ太のゴ3ネタブログ

他称・ビジネス法務系スター弁護士によるニッチすぎる弁護士実務解説 TwitterID: @uwaaaa

「国選弁護で稼ぐ方法」についての弁明書

なんかFacebook上で「国選弁護で稼ぐ方法」というエントリが炎上して,「懲戒請求」とかいう話も出てたらしいので,得意の嘘起案で反論してみました。もちろん,これも壮大な皮肉です。

平成26年(綱)第800号 懲戒請求事件
懲戒請求者 なんかFBとかでこそこそあげつらってた大先生方
対象弁護士 刑裁サイ太

                            弁 明 書

                                                    平成26年12月23日

某県弁護士会綱紀委員会 御中

                                対象弁護士 刑   裁   サ  イ  太


第1 申立ての趣旨に対する答弁
   懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする。
  との議決を求める。

第2 懲戒事由の説明に対する認否
   対象弁護士が,別紙ブログ目録記載のブログ(略)において,平成26年5
  月8日付けで「国選弁護で稼ぐ方法」というエントリ(以下,「本件ブログ記事」
  という。)をアップしたことは認めるが,その余は否認ないし争う。

第3 対象弁護士の主張
   主にフェイスブック上で懲戒請求の話が進められており,懲戒事由の説明が
  判然としないが,主張を推測した上で反論する。
 1 本件ブログ記事を書いた主題
   対象弁護士は,本件ブログを,日本司法支援センター(以下,「法テラス」
  という。)が定める国選弁護報酬の算定基準に対する皮肉ないし批判を主題とする
  ものとしてアップした。
   このことは,
 ①冒頭の「おことわり」と題した項において,地の文と比して大文字かつ太字で,
  「本エントリで当職が訴えたいのは,法テラスの基準がおかしいという現状に対す
  る壮大な皮肉です。」と記載していること,
 ②参考文献の項に「法テラスの基準「等」に対する怒りが本稿の原動力となって
  います。」と記載していること,
 ③ところどころ,「註」として,現状に対する批判と改善点を指摘していること
  (たとえば,「被疑者国選での稼ぎ方-ボーナス各論」の項の最後には,『註:論
  外。本当にこういうことを考える弁護人が出てもおかしくない規定。時間の限られ
  た被疑者国選段階で示談をまとめる苦労と上記のことを考えれば,被疑者国選弁護
  段階の被害弁償ボーナスを増額すべき。』として,基準を具体的に批判した上で,
  改善策を述べている。なお,この点に関する問題意識は対象弁護士以外に主張して
  いる者を見たことはない。),
   の各点から明らかである。
   この点,懲戒請求者は,懲戒事由の説明において「法テラスに対する壮大な
  皮肉が真のテーマと書いてるが,そう見えない。」などと主張する。仮にその主張
  が正しいのであれば,対象弁護士には上記のようなトリックを弄してまで伝えたい
  ことがあったはずであるが,それは何だと主張するのであろうか。

 2 法テラスの基準を読めば誰でも容易に想到するものであること
   対象弁護士が本件ブログ記事に記載した事項は,いずれも法テラスの基準を
  読めば容易に想到しうる事項である。
   接見を重ねるたびに接見報酬が逓減していくこと,不起訴処分を勝ち得ても
  何らの特別加算も与えられないこと,無罪をとっても元々低い通常報酬が100%
  増になるだけであること等,いずれも基準を読めば理解できる内容である。
   本件ブログ記事は,基準の抜け道を指導している,というようなものではない。
  これを抜け道であるというのであれば,基準自体がザルそのものであることの証左
  であろう。
   してみれば,不適当な弁護を助長しているのは法テラスの基準というほかない。
  それを指摘することが助長だというのであれば,元法テラスのスタッフ弁護士とし
  て基準を最も知悉しているはずなのにその状況を放置している懲戒請求者らも同罪
  なのではないだろうか。

 3 質の悪い弁護を教唆したということはない
   刑法の教唆犯の構成要件たる故意については,「自己の教唆行為によって,
  被教唆者が特定の犯罪を犯すことを決意し,かつ,その実行に出ることを表象・
  認容すること」とされている。
   対象弁護士としては,本件ブログ記事を読んだことによって,被疑者被告人
  をないがしろにする弁護方法を実践する弁護士が出てくるなどとは微塵も思ってい
  なかったものである。国選弁護で稼ごうという弁護士はベテランであると思われ
  (現に,国選弁護関係で不祥事を起こす弁護士は老齢の者が多い。),そのような
  者がこのようなブログにたどり着くことはないであろう。実際に,本件ブログ記事
  を約8ヶ月経過してからようやく発見して鬼の首を取ったようにはしゃいで批判す
  る者がいるほど,人目には付かないのである。
   そもそも,実際に本件ブログ記事のような弁護を実践した者がいないのに,
  教唆などが成立する余地はない。
   したがって,「質の悪い弁護を教唆した」などという批判は当たるはずは
  ない。

 4 財務省の監視について
   財務省が国選報酬切り下げのための材料にする,などという主張も見られる。
   しかしながら,対象弁護士はそのような話は聞いたことがなく,陰謀論とし
  か思えない。
   また,仮に陰謀論ではなく実際に行われていることなのだとすれば,そのこ
  と自体を批判すればよいはずである。それであるのに,本件ブログ記事を叩くとい
  うのは,財務省(国)よりも叩きやすいという理由しか考えられない。国の施策を
  元に他者の表現行為を批判するというのは,憲法の本質を学んでいるはずの弁護士
  としてやや疑問が残る(表現のあり方をめぐって取消訴訟の対象にもなり得る懲戒
  請求を持ち出すこと自体にも同様の違和感を覚える。)。
   強きをくじき,弱きを助けることこそが懲戒請求者らの信条とするところで
  はないのであろうか。
   なお,財務省の材料にされるという主張があるのに,対象弁護士の元に「記事を削
  除せよ」という要請は一切来ていない。

 5 なお,対象弁護士が実名でないことから,対象弁護士が弁護士であることま
  でを疑うような主張があった。しかし,所詮はネット上の議論であって,懲戒請求
  者らが弁護士であることは,対象弁護士からしても確認することができない。対象
  弁護士が実名を伝えたとしても,名乗った実名が真実であることを懲戒請求者らは
  確認することができない。そのような中で,実名でないことを理由とする議論は無
  益というほかない。
   実名・匿名問題はさておき,「懲戒」「偽弁護士」「弁護士法違反で告発す
  べき」とまで言うのであれば,フェイスブックムラ社会ではなく,少なくとも誰
  でも閲覧できるエリアで議論をすべきであろう。
   おって,対象弁護士は,簡易ブログTwitter上において,懲戒請求者と思しき弁
  護士をフォローした上,コンタクトを取ったところ,何らの反論もなくブロックさ
  れたものである。

 6 以上のとおりであるから,本件ブログ記事により,対象弁護士が弁護士とし
  ての品位を害したなどと評価することは到底困難であるので,申立ての趣旨に対す
  る答弁に記載のとおりの議決を求める。

 7 こっちから慕いたくなる,格好いい,余裕のある先生が少なくなったなあ。
   お互い名誉と信義を重んじて仲良くやりましょう。

                                                                    以 上