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刑裁サイ太のゴ3ネタブログ

他称・ビジネス法務系スター弁護士によるニッチすぎる弁護士実務解説 TwitterID: @uwaaaa

日本弁護士連合会の会長になる方法

はじめに

 先日行われた東京弁護士会の役員選挙において,「弁護士会を任意加入団体にする」「会費の大幅減額」等の主張をして副会長に立候補した新興大手事務所の先生がおられたようです。話によれば,惜しくも落選となったようですが,事前の予想よりも多くの票が集まっており,非常に興味深く受け止めております。
 「弁護士人口が増大してついにこのような候補が登場してしまったか・・・」とする論調もあったようですが,時代の流れ的にはそういう考えを持つ弁護士が現れるのは不可避なことでしょう。
 当職自身も,任意加入団体の点はともかくとして,会費の減額や会員向けサービスの比重を上げるという主張については共感を覚えるものです。むしろその方向性に反対をする若手弁護士は見つける方が難しいかも知れません。
 ところで,選挙といえば多数決です。
 このように不満をため込めた若手弁護士が一致団結すれば,多数派を占めることは十分に可能になるはずです。
 そこで,夢はでっかく【日弁連会長】の座を得るにはどうすべきか,具体的に考察してみたいと思います。

本稿の目的

 まーたこういうブログを書くと各方面から刺されそうなので,最初に声を大にして言いますが,

【本エントリは,若手を重視しない(ようにみえる)日弁連執行部体制に対する牽制として,若手が団結すれば簡単に日弁連会長の座を得られるという事実を示すことです。】

 ですので,「生意気なクソ若手弁護士はさっさと淘汰されろ」「偽弁護士扱いでいいですよね」「偽装非モテ・偽装非リア充乙」とか辞めてくださいホントに(これでも主流派なので^^;;;;;)。

日弁連会長選挙の規定

 日弁連会長選挙の実施については日弁連会則に定めがあります。
 そのうち,勝利条件は61条2項にあります。

前項に規定する投票による最多得票者が当選者となるには、弁護士会の総数の三分の一を超える弁護士会において、それぞれ最多票を得ていなければならない。

 最初に突っ込みを入れたいのですが,前項には最多得票者が当選者とは書いてありません。なぜ端的に「最多得票者であり,かつ,・・・」みたいな規定にしないのか・・・。当職が調べるといつもこういう煮え切らない規定ぶりの条文が出てきますね・・・。
 それはともかく,【最多得票者】かつ【弁護士会の総数の1/3を超える弁護士会においてそれぞれ最多票】が必要であることが分かります。弁護士会は現在52単位会ありますから,1/3を超えるには【18単位会】が必要です。
 この2つの要件がミソでして,【最多得票者】と【1/3単位会で最多票者】とが食い違う事例がつい最近ありました。結果,両者譲らぬまま再投票,再選挙にまでもつれ込みました・・・。
 それはそれとして,いずれも【最多】であればいいので,最低得票数の制限もありませんし,得票率も関係ありません。ここに勝利のヒントがありそうです。

分析

 どうやれば若手が選んだ候補が勝てるか,色々な方法で分析できると思います。
 まず,最多得票者になるには,過半数を取れば絶対に勝てます。数こそパワーです。
 日弁連の会員は3万6449人(平成27年2月9日現在。以下のデータはいずれも同日付のデータ。)ですので,18225人が投票すれば必ず最多得票となります。
 57期よりも期が若い弁護士が18331人ですので,57期よりも期が若い弁護士が結託すれば絶対に勝てます。
 とはいえ,実際の会長選の投票率はそこまで高くありません。
 前回も投票総数は16183票でした(http://www.nichibenren.or.jp/news/year/2014/140214.html)。
 村越現会長の得票数は11676票。62期より若い会員が11046人,61期で13120人ですので,単純計算では61期までが全員一致団結すれば勝てます。
 ・・・なんていう分析であれば単純ですが,日弁連会長選挙はそこまで一筋縄で行くわけはないのでより深く考察したいと思います。

深く分析-東京弁護士会の副会長選を踏まえて

 そもそも若手が完全に一致団結するのは難しいと思います。主流派の考えに賛同する会員もいるでしょうし,そのこと自体,別に不思議でも何ともありません。
 ではどのくらいの割合の若手が固まれるか。それを考察するのに好適な材料が,冒頭で述べた「平成27年度東京弁護士会の副会長選」です。



 某所の情報によれば,東京弁護士会の副会長選の得票数は以下のとおりだったそうです。
 7人の枠に8人が立候補しました。
A候補 635票
B候補 795票
C候補 593票
D候補 718票
E候補 909票
F候補 522票
G候補 305票


 このうち,G候補が冒頭で述べた候補です。これを見ると,G候補はあと218票あれば当選まで行けたようですね。
 じゃあ218人のG候補推しを集めれば良かった・・・ということですがそうは簡単にはいかないと思っています。


 ここから詳しく分析してみます。
 全投票数が4477票でした。
 また,東京弁護士会の登録人数は,7470人のようです(念のため,平成27年2月9日現在。以下同じ)。日弁連の規定と同様の規定があるとすれば,選挙の公示10日前までに弁護士登録をしている者が有権者なので,上記選挙の有権者の数とはややずれると思われますが,大差ないでしょう。
 投票率は約60%,G候補の得票率は6.81%でした。


 さーて,どんどん独自分析していきますよ。
 G候補の主張からすると,旧来の弁護士が同調した可能性は低いように思われます。したがって,そのほぼ全ての票は若手会員が投じたものと考えられます。
 ここでは,「若手会員」を「60期以降の弁護士」と措定します。60期以降の東京弁護士会の会員は,2893人のようです。これが若手会員票です。
 この若手会員が,上記投票率で投票したとすると,1733人が投票していることになります。
 この1733人が305票を投じているとすると,その得票率は17.6%となります。この数字は,上位陣に肉薄する数字です(得票率1位が20.3%,2位が17.8%)。


 このように,必ずしも準備が十分ではない状態ながら,若手会員からは17.6%ほどの支持が集まったことが推定されます。これってすごくありませんか? 厳密にいえば,若手弁護士の投票率は低めになるものと思われますので,実際の支持率はもっと高いかもしれません。
 60期以降の全国の会員は1万5176人ですので,その17.6%の【2671人】程度は,若手が推す候補を支持する土台が既にあると推定されます。
 もっとも,日弁連会長選の投票率は50%前後ですので,実際に投票されるのはその半分の【1336票】程度でしょうか。
 してみると,前回の当選票数とは1万票の差があります。これを若手だけで埋めるのはやや苦しいでしょうか。検討してみます。


 たとえば,60期以降の若手会員らの支持率を50%まで伸ばすと,約2458票を上積みできます。同じだけの主流派票(他の候補は考えない^^)を食えますので差が4916票縮まります。
(1万5176人×支持率50%×投票率50%=3794人,3794票-1336票=2458票。2458票×2=4916票)

 ただ,これは若手の投票率を50%として計算した場合なのです。投票率を70%にすると約4000票の上積みになります。つまり8000票差を捲れます。
(1万5176人×支持率50%×投票率70%=5311人,5311票-1336票=3975票。3975票×2=7950票)


 これならならなんとか光明が見えてきそうです。東京弁護士会副会長選挙での主張はラジカルに過ぎますが,特に「任意加入制」や「会務廃止」等の主張をマイルドにすれば,支持率を伸ばすことは十分に可能ではないかと思料します。
 この上に,あと2000票差を捲るには,50期代の力を借りるしかありません。困ったときはパイセン頼みですね^^
 50期~59期の会員は,7810人。この世代が投じる,主流派に流れる1000票を,若手候補票に流せば2000票差を捲れます。
 彼らの投票率を50%とすれば,支持率25%ちょっとが必要。前回の日弁連会長選の反主流派候補の得票率が25%程度(4173/16183)であったことを考えると,十分に可能性はありそうです。



 このようにして,若手の候補が日弁連会長選に立ち,最多票を獲得するには,
【60期以降の若手会員からの支持を50%集めて,その70%を投票に行かせた上】
【50期~59期の会員からの支持を25%集めて,例年どおり50%を投票に行かせる】
ということが必要になると見込まれます。
 いい加減な推定ながら,思ったよりもかなり具体的な目標にまで落とし込めたのではないでしょうか。
 ところで,以上の推定では,「次回の選挙までに会員が増えること」ということを織り込んでいませんが,若手が増える分には上記の条件が緩和される可能性の方が高いですので,ここでは敢えて考えませんでした。


 もうひとつ,余談ですが,東京弁護士会副会長選挙で,投票しなかった若手の全員が17.6%の割合でG候補に投票していたとしても,わずかにF候補には及びませんでした。
218票の壁は思った以上に厚いです。


単位会の最多票

 若手会員の数はどの単位会でも圧倒的ですので,上記の条件を満たせば自動的に単位会でも最多票になると思われます(適当だけど,そうでしょ多分)。


まとめ

【60期以降の若手会員からの支持を50%集めて,その70%を投票に行かせた上】
【50期~59期の会員からの支持を25%集めて,例年どおり50%を投票に行かせる】
ということの出来る才覚のある若手会員が現れれば,日弁連会長選に勝つことが出来ることが分かりました。
 現状でも,ごく僅かな時間とほとんどない知名度で,支持率17.6%の候補が現れています。
 日弁連執行部を恫喝するつもりはありませんが,若手カンファレンスをやってお茶を濁す程度の若手支援策しか打ち出さなければ,上記の条件は容易く満たされると思いますよ。


なにっ,いっそ【サイ太得票者】になってしまえばいいって?